三角島 50㎝

とびしま大橋の開通で七島がつながった「しまなみ海道」。

その四番目の島、大崎下島の向かい側に浮かぶ「三角島」。
「さんかくしま」と読むのではなく「みかどじま」と読む。三角島には「美加登神社」という宮もあり、住民の方もいる。

呉市営の小型フェリーに乗り込んで大崎下島から五分程度で渡れる。そのフェリーが発着する三角港、そこには島民に伝わる伝説がある・・・

話を2006年に戻そう。

当時、あけぼの渡船をホームグランドにしたチヌ釣りをしていた私、黒鯛寅次郎こと羽納純一です。

三角島の防波堤はあけぼの渡船でも瀬渡しする好ポイントだ。

秋口はサバの猛攻で辟易するポイントであるが、寒の時期のチヌ釣りには実績もある場所だ。

三角の波止場に渡された私は、そのポイントで40センチクラスの黒鯛を3匹ほど釣って「今日の釣りはまずまずだな」と思っていた。
そこへ、一人の老人が歩いてやってきた。どうやら地元のおじさんのようだ。挨拶を交わし、しばし話をしていたら、彼はその昔、このあたりをテリトリーとした漁師だったようだ。
この日私が釣っていたチヌを見て、思い出したように話し始めた。

この防波堤界隈では「3匹の巨チヌ」がいる・・・

なんでも数十年前からその3匹の巨チヌはいるらしい。
チヌの寿命は長くて15年ほど。にわかに信じがたい話だ。

しかし、彼の話を聞いていると、どうやらその3匹は代を重ねて輪廻転生のように生まれ変わり、そしてこの防波堤界隈に巣食っているようだ。
そんな話をまるっきり信じた訳でもないが、その後、私は何度かこの防波堤に通った。

しかし、釣れるチヌはレギュラーサイズ。平均は38~45センチといったところで、とても彼が話していた「3匹の巨チヌ」とはいえない。

三角島の防波堤は、外側に面した「長波止」と内側の「短波止」がある。

この長い波止と短い波止の瀬戸を狙うため、どちらの波止からでもチヌが釣れる。時間帯によって長い波止がよい時間帯(おそらく上がり潮)、短い波止が良い時間帯(おそらく下げ潮)があるように思える。

さらに条件はシーズンによっても違うのかもしれない。

そんな「曰くつきの三角島」であるが、いつしか期待は薄くなり月日は過ぎ、私の宇和島通いが始まった事もあり、訪れることも少なくなっていた。

時は、2010年1月・・・

メーリングフィッシングクラブ「寅の穴」の広島在住メンバーでの釣行会。
1月の末という事もあり、場所を選びあぐんでいたところで、思い出したのがこの「伝説の波止」である。

我々「寅の穴」の取材班4人。

黒鯛寅次郎(羽納純一)
フィッシングベア(大熊智憲)
じぇーんくん(海田善至)
世界のナベヤスさん(渡辺靖)

我々は、外海からの入り口にあたる、外波止、内波止に2人ずつわかれ、伝説のモンスター捕獲ミッションを遂行することになった。

当日は朝からそぼ降る雨、我々取材班にとっては厳しくも辛い釣りとなることは必至だった。
三角湾内外の防波堤で必死に幻の巨チヌに狙いを定める4人。そんな4人のがんばりとは裏腹に冷たい雨は降り続け我々の体温を奪っていった。

そんな中、一番先に黒鯛を掛けたのは、取材班最年少の寅の穴の若き竜こと、じぇーんくんだ。実は、その少し前にとんでもないアタリがあり、ハリスをぶっちぎられていたようだ。その悔しさを声を押し殺して耐え、遂に久々の黒鯛をゲットした。

齢10歳からチヌフカセ釣りをはじめた彼だが、その釣行前に数回ボーズが続くドスランプに陥っていた。耐えて耐えての一枚は40センチクラスのナイスサイズだった。

そのようやく手中に収めた黒鯛をスカリに入れようと移動している最中のことだった。

黒鯛寅次郎のウキが静かに水中に引き込まれた!壮絶なスピードと重量感が地球の中心へと突き進んでいく。
「なかなかのパワーだ!だが残念だったねチヌ君!」といわんばかりの強引なやり取り。

はなから巨チヌ狙いのこの日、仕掛けはインテッサGⅢ、道糸2.75号、ハリス2号。1センチも道糸を出すことなく強引なやり取り!

ものの数十秒で浮かんで来た黒鯛の開いた口をみて、じぇーん君が呻る!「これ!デカイです!!」何度かの強烈な締め込みの後、素直にタモに収まったチヌは50センチジャスト。まさに満足の1匹だ!

とは言え、たかだか50センチ。伝説の巨チヌとは言い難い。

そんな中、一歩も二歩も伝説に近づいたのはやはりじぇーんくんであった。
その後45クラスを足し、さらにヒット、ハリス切れ。ヒット、ハリス切れ。を繰り返す。ここいら一帯にはコブダイのモンスター級も潜んでいるが、明らかにチヌのような引きもあった。
結局、我々取材班のうち、内向きの波止では25センチ級をナベヤスさんが1枚釣ったのみで終了。夢の一端を垣間見ることは出来たが、巨チヌの捕獲は夢の続きとなった。
後日、黒鯛寅次郎とフィッシングベアの2人でさらなる調査に外側の波止に訪れたが、同様に寅次郎が超大物に二発ハリスを切られた。さらにその翌日、渡船あけぼの丸にてM氏が同じ防波堤に渡り大型のバラスがあった事を報告してきた。

三角島にはモンスターが潜んでいる。

三角釣行 9月27日 じぇーん君 初めて磯に降り立つ。

寅です。

9月27日、寅の穴メンバーの、熊ちゃん、ナベヤスさん、そして、じぇーん君と4人で三角島を攻めました。

通常、4人では行ってくれないのですが、当日は他クラブの月例会もあり、どうせ船を動かすんでしょ~m__m、的な感じで結構無理をきいてもらったのだ。

熊ちゃんを長崎鼻の観音崎方向へ、俺とじぇーん君で真鯛ポイントに、ナベヤスさんは一発が狙える場所にと考えていたが、風の事もあり、熊ちゃんは長崎鼻の内側になった。

これが熊ちゃんにとって、人生ってパラダイス!に繋がった。

さてさて、熊ちゃん、俺とじぇーん君、ナベヤスさん、と順番に渡磯。

じぇーん君は、うちのサイトの常連さんで、俺の弟子宣言をしてくれた可愛らしい青年だ。

あーでも、こーでも、と話しながら、じぇーん君、けっこう腕も立つし器用なのだが、やはり手順などが防波堤の釣り、という感じだ。
そんなこんなも、少し教えるとボチボチ出来るようになってくる。

やはり器用なんだね。

じぇーん君をベストポジションに立たせてあげて、その潮上から釣る。
少し、ムツカシイが、まあ潮が走り出したら、2人とも鯛鯛チヌ鯛チヌチヌ鯛、という感じで釣れるだろう。
と考えていたら。

潮が思うように動かん。
潮、押してるし。。。
うーん・・・・・
と悩んでいたら、じぇーん君が真鯛をヒット。

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なかなか余裕の取り込み。嬉しそうだ、よかったよかった。
「必ずツガイでいるから、同じ場所に同じタナでせめて!」とアドバイス。

確かに真鯛はおしどり夫婦のようにペアでいることが(しかも同サイズが)多いのである。
しばし、サバやらベラやらという時間帯。

九時頃気になって、大知渡船発のTAKEさんや、熊ちゃん、ナベヤスさんに一通り電話。
熊ちゃんはエギングでイカを二杯釣っていた。

と、じぇーん君が2匹目の真鯛を釣る。やはり同サイズ、思ったとおり。
俺も釣りてぇなぁ。。。と思うも、次はチヌかな、と。

アレコレやってみるがチヌの便りは無い。湾のなかへ移動、やってみるものの、感じは悪いような芳しくないような(笑)
しばしやってみるが、そろそろ込みの潮が左から右へ行くはず(行ってください、お願いします。という感じでした。)
と、いう事で、じぇーん君の左隣に移動。

止まっているので、真鯛来ないかなぁ。と思っていたがこない。
と、予想通り潮が右へ流れ始める。最初はまるで遠慮がちにだったがボツボツいい感じで流れる。
若干さらに右によって、並んで流す。これなら、2人とも釣れそう。

と、砂浜の真ん中あたりまで流すとウキが入る。
小気味良い引き、正にチヌ。
浮かんできたのは30センチ前後のチヌ。ごぼう抜きにして「本当はちゃんとすくったほうが良いんだけどね」
などと、自省しながら、じぇーん君に説く。って説得力ねぇよ(笑)

なんとかかんとか、本命のチヌをゲット。

これでボチボチ釣れてくるかなぁ。と思っていました。

一応、じぇーん君にも釣るところを見せれたし、カッコもついたかなと(笑)
真鯛を釣らせてあげる、という約束は果たせたのですが、やはりチヌも釣ってもらいたい。
潮は左から右やや沖へと走り、ここは一人でやらせてあげたくなった。
ので、俺一人おくの砂浜へ移動。

案外、チヌが入っていたら、爆釣もあるので、当たってきたら呼んで上げようと思っていましたが・・・さすが砂浜、フグの宝庫(涙
もっと奥へ、もっと奥へと移動。

しかしドンドン、クサフグのテリトリーに踏み入れいてたようで、うまくない。

次第に潮も緩み、砂浜からは引かれ潮は動かなくなったので、元の場所に戻る。
磯場というのは、ほんの少しはなれただけで全然状況が違うし、数メートル立ち位置が違うだけで、まったく釣果が変わって来るんだよ、うんにゃらかんらゃら、と話をしながら釣りをする。

ふと電話をチェックすると熊ちゃんから電話が掛かっていた。
「どうしたの?何かいいの釣れた?」
と、電話すると
「やりました、僕、ナベヤスさんの記録を抜きました!48㎝以上のが釣れました。」
と、喜びの報告。しかも、他にも何枚か釣っているらしい。

おぉ!スゲエ。と感動、感心。

先週の岡村島での修行の成果が出たのかな、と嬉しく思った。

彼は割りとノンビリ屋なので、
少し厳しく指導しているけど、やはり結果を出してくれると嬉しい。
「じぇーん君、熊がいいの釣ってるよ。負けられんよ頑張ろう!」
と健闘を検討する。

いやいや、シャレでなく。がんばるのは当り前、どうがんばるか考えてがんばる。これが大切。
潮はゆるくなったり、速くなったり、と左から右へ、調度よいスピードで流れる。
しばし流すとエサも残るようになった。

これはチャンスと、マキエサとサシエサを合致させて流す。
30メートル流した付近でウキが入る。
なっ、思ったとおり(←この辺までは余裕しゃくしゃく)
ギュギュギューーーーーン
とかなりの手ごたえ。とはいえ、ここで大きい、とビビってしまってはいかん。

なにせ魚が潮を受けて必要以上に大きさを感じるときもある。
にしても、強い(汗)

じぇーん君も固唾を呑んで見ている。「メチャメチャでかそうです^^;」とテンションも上がっている。

それにしても、なかなか寄らない。ロッドを上に右に左にと誘導する。なんとか有利な場所を確保しようとバシャバシャと海の中を歩く。
しゃがんで立ってしゃがんで立って。これは、昔からの俺のスタイルだけど、宇和島で何匹もの好敵手と対峙してまさに体得したやり取りだ。この立つスピードもちょっとしたコツを要する。

だいぶ近付いて、そろそろ姿が見えるかと、思うがなかなかウキが水面をきって15センチから上に上がらない。
はぁ???

最初は52-3センチクラスのチヌにガラ藻でも巻き付いているのかと思ったが、どうも本格的にトルクが違う。

コブかなとも思ったが、貼り付き方が違う。この場所で何匹も真鯛をやっつけているが、この左から右の潮で釣った事はないので、真鯛だとは思わなかった。

なかなか近寄らず、浮くかと思ったら絞り込んでくる相手に思わずでかい声で。
「貴様、何者だぁぁあああ」
と叫ぶ(笑)。さらに海中にと前へ進み奴との距離を縮める。またスクワットで、30センチ浮かして、そこで竿を横に倒し引き寄せる。見えた・・・

「メチャメチャでかいです。真鯛です。」じぇーん君も大興奮だ!!
姿が見えてなにか落ち着く。これが60超えのチヌならオシッコちびってたかも知らん(笑)

とりあえずハリスは1.5なので無理は出来ない。騙し騙し寄せるしかない。

突っ込み耐え、突っ込み耐え、を繰返す。少しでも空気を吸わせたら真鯛なら一気に弱るはず。

なかなか水面を切らなかったが、こちらの粘り勝ち。予想通り一瞬空気を吸わせたらパワーは半減した。じぇーん君がタモアミを構えてくれている。

「魚を追わえないように。頭からで」と頼む。が、常に彼女の魚や弟君の魚をすくっているだけあって、じぇーん君、かなり上手にすばやくタモ入れする。

タモのなかで横たわった魚体はデカイのひと言。ハリス1.5、チヌ針の2号という仕掛けで取れたのだから、幸運だったと言うしかない。針は唇にうっすらと掛かっていた。それを見たら冷汗が出た。

じぇーん君の持っていたメジャーで測ると70センチを超えていた。そのあと弱ってきたので〆てから平らなところで測ってみたら70.7。大満足のサイズだ。

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その後も、同サイズがきっと湾内にいるはずだと時間一杯まで2人で頑張ったが、じぇーん君が人生初のグレを釣ったところで、あけぼの丸が迎えに来た。

釣れたことも嬉しかったが、じぇーん君の初磯で、ビッグワンも釣れ、きっちりチヌも釣れ、ふがいない所を見せなくてすみ、「俺ってスゴイなぁ」と自分を褒めてあげた(爆)。

今回の反省点は、ナベヤスさんのポイントがハゲにやられて、あたらなかった事だ。

朝に干潮、返しの潮があると思い、その瞬間に賭けてもらおうと思ったのだが、残っている下げ潮でよい場所があったため、鼻先まで出て釣りをされていた。

俺のところからも姿が見えていたで、よい時間には声をかけようと思っていたのに、バタバタしてなかなか連絡できず、場所移動を促せなかった。

ギリギリに声は掛けたが少し遅かったのかもしれない。悔やまれる。結果は同じだったかもしれないが、あの瞬間に対するインスピレーションはあったので、後から考えると悔しく、惜しくなってしまった。

確かにこの時期に一発は厳しいっちゃ厳しい。

そんな中で熊ちゃんが港で検寸したら49.2センチという大物を仕留めてくれたのは嬉しい限りだった。
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秋の礒は、まさに秋の空と同様で、同じところに入ったからと言って正直、結果は厳しいだろう。また違う場所を考えたほうがよいかも知れん。うーーーん。。。。

よいイメージの沸く、インスピレーションが煌めく場所を考えようっと!!

ではでは♪